山が山でなくなる日

すっかり秋も深まり、午後の陽射しには冬の匂いを感じるようになりました。
去年に引き続き、今年の紅葉も奮わず、小屋の周りは早々に落葉してしまいました。
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でも葉が落ちると見通しが良くなり、
尾根の形がはっきりとわかるようになりますね。
「これから山が山の形を取り戻していくんだな」と思ったりします。
晩秋の奥多摩。大好きです。

11月3〜5日の連休は、お天気最高で、賑わいはもの凄かったです。
その前々週、前週の週末が台風に見舞われたこともあり、
今年のGW以上の人出となったのではないでしょうか。
七ツ石小屋の小屋泊もほぼ満員、
テン場も過去最高タイ記録の24張となりました。

連休で多くの方がいらっしゃると、二つの問題が出てきます。

一つ目は、毎度書かせていただいていることですが
装備・知識・体力不足の登山者が非常に多くなること。
普段の土日の比ではなくなります。
デッキシューズで雲取山日帰りチャレンジ、
ライトもシュラフも無しで山頂避難小屋泊計画、
子連れで13時に出発し18時に小屋に到着……
などなど、今回も枚挙に暇がありませんでした。
このことは、twitterやブログ、麓や山中の看板設置では及ばなかったのだな、と
当方の力不足も大きく感じます。

二つ目は、登山技術として危ういというのではなく、
単純にマナーの悪さが目につくこと。
これは集団心理のようなものかな、
「こういうことはしないで」といちいち言っても仕方ないのかな、
と思うので具体例は挙げません。
電車、駅、道路、駐車場、登山道……
ぜんぶが普段の下界と同じくらい(それ以上?)混雑していて
その中で、それでもせっかくの連休を楽しもう!とすると
登山道が、山頂が、山小屋が、遊園地のアトラクションのようにでも見えるのでしょうか。
我先にいい場所をとる、自分のことしか見えていない、
使えるものは全て使い、撮れる写真は何でも撮る。
記念を、達成感を、思い出を、必死で持ち帰ろうとする。
山にもっともそぐわない「搾取」型の楽しみ方になる人が多いと感じます。

今回の連休中にいらっしゃった方で
不運にも当小屋で小屋番に怒られた人たち。
その中にもきっと
空いている時に来て静かな山にすっぽり包まれたならば、
誰と競うことも焦ることもなく、自然に理解が働いて
マナー違反なく気持ちよく利用していただけた方もいるのでしょう。

お仕事やご家庭の都合で、連休くらいしか山に来られないという方も
大勢いるとは思います(小屋番T自身もそうだった経験あります)。

ですが、あえて言っちゃいます。

連休に、混んでるときに雲取山来ても、楽しくないよー!
楽しめたとしても、それって遊園地みたいな、下界みたいな楽しみ方になるよー!
ほんとの山ってー、ぜんぜん、ぜんっっっぜん、違うよー!!
空いてる時にー、おいでよーーーーー!!!
(※あくまで個人の感想でーーーす!意見には個人差がありまーーーーす!!)

そういえば小屋番Tもずっと前に、混雑した夏の富士山に一度登りました。
天気も良く山頂にも行けましたが、人の多さにげんなりしてそれっきり。
自分も「人の多さ」に加担しながらげんなりしてるんじゃ、しょうもない。
こんど富士はオフシーズンに中腹あたりに遊びにいこ〜
と思っているのでした。おんなじですね。

混雑した雲取山しか知らないな〜という方、すごくもったいないです。
これから雪がつくまでまだ一ヶ月近くあります(例年では)ので、
是非来てみてください。
週末、いえいえ、時には休暇でもとって、贅沢に平日にいらしてみてください。
サクサク落ち葉の日当たりのいい樹林帯、
澄んだ空気、素晴らしい見晴らしの石尾根が待っています。
もちろん、この季節は日が短く気温は低いので
装備・知識・体力は備えて来てくださいね。
小屋番といっしょに、静かな山に包まれて、ボケーーーっとしましょう。
お待ちしておりま〜す!
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